お茶コラム『朝茶はその日の難逃れ』 第202号
季節のおもてなし
季節のおもてなし
みなさん、こんにちは。
外販渉外課の糟谷です。
先日、華道を嗜む友人の家に招かれ、玄関に「桔梗」がたくさん飾られているのを見て驚きました。
「桔梗」といえば、秋の七草のひとつ。
確かに涼しげで良かったのですが、梅雨明けもまだだし、さすがに早いなあと感じてしまいました。
今はどんな花でもハウス栽培で手に入って便利ですが、先取りしすぎるのも、季節感が薄れてしまうような気もします。
茶道の世界でも基本的に「先取りは良し」とされます。
例えば、私の習っている流派では、8月中旬のお茶会で紅葉の柄の茶碗を使うのはOK。
残暑厳しい中でも、お茶を飲むひと時だけは、秋の涼しさを感じていただけたらという心遣いなのでしょう。
ところが例外もあります。
「七夕」と「雛祭り」など一部の行事は、実際の日にちからずいぶん遅れて、旧暦に合わせてお茶会を行うことが多いです。
それはなぜか?
今、私たちが使っている世界共通の暦では、日本の四季とずれてしまうからなんだそうです。
年が明けたらすぐ「新春」と言われても、まだ真冬で春なんてぜんぜん感じませんよね。
季節を感じるには、日本人が古来より使ってきた旧暦のほうが合うのだそうです。
季節感を大切にする華道や茶道では、相手(お客さま)の気持ちを常に予測して、しつらえを考えます。
「おもてなし」って奥が深いんですね。。。
そう考えると、華道茶道ともに師範免許を持っている友人が「桔梗」を飾ったのには、 何かの別の意図があったのかも??
今度また改めて聞いてみようと思います。